傷病手当金 対象の病気・ケガとは?申請前に確認すべきポイントと注意点

退職のミカタ

突然の病気やケガで働けなくなってしまった時、経済的な不安は大きな負担となります。そんな時に頼りになるのが傷病手当金です。

この記事では、傷病手当金の対象となる病気やケガ、対象者、金額、支給期間、申請方法、注意点など、2024年最新の情報に基づいて分かりやすく解説します。傷病手当金は、病気やケガで会社を休まざるを得ない場合に、生活の支えとなる給付金制度です。正社員だけでなく、パートやアルバイトの方も対象となる場合があります。

この記事を読むことで、自分が傷病手当金の受給対象となるのか、どのくらいの金額が受け取れるのか、どのように申請すればいいのかが理解でき、安心して療養に専念するための準備ができます。

また、傷病手当金と失業保険の併用や、受給中の転職など、よくある疑問についてもQ&A形式で分かりやすく解説していますので、ぜひ最後まで読んで、傷病手当金を活用するための知識を深めてください。

目次

傷病手当金の対象となる病気・ケガとは?

傷病手当金は、病気やケガによって働くことができなくなり、給与が受け取れない期間の生活を保障するための制度です。しかし、すべての病気やケガが対象となるわけではありません。ここでは、傷病手当金の対象となる病気・ケガについて詳しく解説します。

どんな病気やケガが傷病手当金の対象になるの?

傷病手当金の対象となるのは、業務外の病気やケガによって、働くことができない状態になった場合です。業務中の病気やケガは労災保険の対象となるため、傷病手当金は支給されません。また、療養のための休業が必要な病気やケガであることも条件となります。具体的には、医師の診断書によって療養が必要と認められた場合が対象となります。

精神的な病気やケガも対象となります。うつ病や不安障害など、精神的な不調によって働くことができなくなった場合も、傷病手当金の対象となります。身体的な病気やケガと同様に、医師の診断書が必要となります。

妊娠・出産は対象外です。妊娠・出産は病気やケガではないため、傷病手当金の対象とはなりません。ただし、妊娠・出産に伴う病気やケガ(切迫早産、妊娠高血圧症候群など)は対象となる場合があります。詳しくは協会けんぽのウェブサイトをご覧ください。

対象となる病気・ケガの具体例

傷病手当金の対象となる病気・ケガの具体例を以下に示します。

区分具体例
病気インフルエンザ、肺炎、がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、うつ病、不安障害など
ケガ骨折、捻挫、切り傷、打撲、やけどなど

これらはあくまでも例であり、上記以外の病気やケガでも対象となる場合があります。

傷病手当金がもらえないケース

以下のようなケースでは、傷病手当金は支給されません。

  • 業務上の病気やケガ(労災保険の対象となります)
  • 療養の必要がない場合
  • 病気やケガが治癒した後
  • 自己都合による退職後(ただし、退職前にかかった病気やケガで、退職後も引き続き療養が必要な場合は対象となる場合があります)
  • 傷病手当金の支給期間が上限に達した場合(1年6ヶ月)
  • 禁固刑以上の刑に処せられている間
  • 日本国内に居住していない場合(一部例外あり)

傷病手当金の対象となる人とは?

傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった場合に生活を支えるための制度ですが、誰でも受給できるわけではありません。対象となる人には一定の条件があります。この章では、傷病手当金の対象となる人を詳しく解説します。

会社員や公務員は対象?

会社員や公務員は、原則として傷病手当金の対象となります。健康保険に加入していることが条件です。正社員だけでなく、契約社員や派遣社員も対象です。ただし、試用期間中などで健康保険の被保険者資格を取得していない場合は、対象外となります。

自営業やフリーランスは対象外?

自営業やフリーランスは、国民健康保険に加入していても、傷病手当金の対象外です。これは、傷病手当金が被用者向けの制度であるためです。自営業者やフリーランスの方は、国民健康保険の傷病手当金ではなく、所得補償保険や民間の医療保険などで備える必要があります。詳しくは全国健康保険協会のウェブサイトをご覧ください。

パートやアルバイトでももらえる?

パートやアルバイトでも、健康保険の被保険者であれば、傷病手当金の対象となります。ただし、以下の条件を満たす必要があります。

条件内容
1. 継続して勤務していることおおむね1年以上継続して勤務していることが条件となります。ただし、会社によっては、雇用契約で1年未満でも加入させている場合があります。
2. 労働時間・日数が一定以上であること1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上であることが条件です。具体的な日数や時間は会社の規定によって異なりますので、確認が必要です。

これらの条件を満たしていない場合でも、傷病手当金に似た制度として、傷病手当金と同様に生活を保障する目的の「傷病休暇」を導入している企業もあります。ご自身の会社の規定を確認しましょう。

上記以外にも、以下のようなケースも傷病手当金の対象となります。

  • 船員保険の被保険者
  • 国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合の組合員
  • 私立学校教職員共済の加入者

それぞれの詳細は、各共済組合のウェブサイト等で確認してください。

傷病手当金の金額と支給期間は?

傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった期間の生活を支えるための大切な制度です。その金額と支給期間について、詳しく見ていきましょう。

傷病手当金の計算方法

傷病手当金の金額は、直近12ヶ月の標準報酬月額を元に計算されます。標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金保険の計算に使われる金額で、おおよそ給与額に相当します。具体的な計算式は以下の通りです。

標準報酬日額 × 支給日数 × 2/3

標準報酬日額は、標準報酬月額 ÷ 30 で計算されます。例えば、標準報酬月額が30万円の場合は、標準報酬日額は1万円となります。支給日数は、病気やケガで働けなかった日数です。したがって、標準報酬月額が30万円の人が30日間傷病手当金を受給する場合、30万円 ÷ 30日 × 30日 × 2/3 = 20万円となります。

注意点として、傷病手当金には上限があります。厚生労働省のウェブサイト全国健康保険協会のウェブサイトなどで最新の情報を確認するようにしましょう。

支給期間の上限

傷病手当金の支給期間には上限があり、同一の病気やケガで最長1年6ヶ月です。ただし、1年6ヶ月を超えても引き続き療養が必要な場合は、障害年金などの別の制度を検討する必要があります。

傷病手当金と給与の比較

傷病手当金の金額は、給与の約3分の2に相当します。そのため、病気やケガで働けなくなった場合、収入が減少することを想定しておく必要があります。以下の表で、給与と傷病手当金の金額を比較してみましょう。

標準報酬月額標準報酬日額傷病手当金(30日間)
20万円約6,667円約133,333円
30万円10,000円約200,000円
40万円約13,333円約266,667円

傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった際の生活を支えるための重要な制度です。金額や支給期間、給与との比較などを理解し、いざという時に備えましょう。また、傷病手当金は非課税であるため、所得税や住民税はかかりません。

傷病手当金に関するよくある質問

ここでは、傷病手当金に関してよくある質問をまとめました。

Q. 申請前に医師の診断書は必要?

はい、必要です。傷病手当金の申請には、医師の診断書(療養のための労務不能証明書)が必須です。この診断書には、病気やケガの状態、就業ができない期間などが記載されている必要があります。申請前に医師に相談し、診断書を作成してもらいましょう。

Q. 傷病手当金の受給中に転職したらどうなる?

傷病手当金の受給中に転職した場合、原則として受給資格を失います。これは、傷病手当金が以前の会社との雇用関係に基づいて支給されるためです。転職前に、ハローワークに相談することをおすすめします。新しい会社で健康保険に加入し、引き続き病気やケガで就業できない場合は、新しい会社で傷病手当金を申請できる可能性があります。

Q. 傷病手当金と失業保険は併用できる?

いいえ、併用できません。傷病手当金を受給している間は、失業状態とはみなされないため、失業保険は受給できません。傷病手当金の受給が終了した後、引き続き就業できない場合は、失業保険の受給を検討しましょう。ハローワークに相談することで、適切な手続きについて案内を受けることができます。

Q. 傷病手当金の支給日数はいつから数えるの?

傷病手当金の支給日数は、労務不能になった日から数えます。 労務不能になった日とは、病気やケガのために仕事ができなくなった最初の日を指します。ただし、連続する3日間(待期期間)を除いて計算されます。 例えば、月曜日から労務不能になった場合、待期期間は月曜日から水曜日までとなり、木曜日から傷病手当金の支給対象となります。

Q. 傷病手当金はいくらもらえるの?

傷病手当金の金額は、直近12ヶ月の標準報酬日額を平均した額の3分の2が支給されます。標準報酬日額とは、健康保険料を計算するための基準となる金額です。給与明細などで確認できます。

Q. 傷病手当金は非課税ですか?

はい、傷病手当金は非課税です。所得税や住民税はかかりません。

Q. 傷病手当金の申請はどこにすればいいの?

健康保険組合または全国健康保険協会に申請します。会社員の場合は、通常、会社を通じて申請を行います。自営業者やフリーランスなどの場合は、ご自身が加入している健康保険組合または全国健康保険協会に直接申請します。

Q. どんな病気やケガでも傷病手当金はもらえるの?

いいえ、必ずしもそうではありません。傷病手当金は、業務外の事由によって病気やケガを負い、療養のために労務不能となった場合に支給されます。業務上の病気やケガの場合は、労災保険の対象となります。また、妊娠・出産、美容整形、歯列矯正などは、傷病手当金の対象外となります。

Q. 傷病手当金と休職の関係は?

項目内容
休職会社との雇用関係は維持されたまま、一定期間仕事を休むこと
傷病手当金病気やケガで働けない期間の所得を補償するための制度
関係休職中に傷病手当金を受給することが可能。
休職期間が傷病手当金の支給期間を超える場合もある。

休職中は会社との雇用関係が維持されるため、傷病手当金を受給しながら休むことができます。 会社によっては、傷病手当金に加えて、会社独自の休職制度を設けている場合もあります。休職に関する詳細は、会社の就業規則などを確認するか、人事担当者に問い合わせましょう。

Q. 療養のための労務不能証明書とは?

療養のための労務不能証明書は、傷病手当金を受給するために必要な診断書です。医師に記入してもらう必要があり、病名、療養開始日、労務不能期間などが記載されます。この証明書がないと傷病手当金は支給されません。

傷病手当金を受ける上での注意点

傷病手当金をスムーズに受給し、思わぬ不利益を被らないためには、いくつかの注意点に留意する必要があります。申請前にしっかりと確認し、準備を整えましょう。

受給資格の確認を徹底しよう

傷病手当金を受給するためには、一定の条件を満たしている必要があります。自分が本当に受給資格を満たしているか、申請前に必ず確認しましょう。主な確認ポイントは下記の通りです。

  • 被保険者期間:原則として、直近1年間に被保険者期間が6ヶ月以上ある必要があります。ただし、病気やケガで離職した場合は、この条件が緩和される場合があります。
  • 業務外での病気やケガ:業務中の病気やケガは労災保険の対象となるため、傷病手当金の対象外です。通勤途中の事故も労災保険の対象となるケースが多いので注意が必要です。
  • 療養の必要性:医師の指示に基づき、療養に専念している必要があります。アルバイトや副業など、他の仕事をしている場合は受給資格を失う可能性があります。

申請期限を守ろう

傷病手当金には申請期限があります。期限を過ぎると受給できなくなるため、注意が必要です。

申請期限詳細
原則病気やケガで仕事ができなくなった日から2年以内
例外やむを得ない理由で2年以内に申請できなかった場合は、申請期限が延長される可能性があります。ただし、延長が認められるケースは限られているため、早めに申請手続きを行うことが重要です。

申請期限が迫っている場合は、必要書類が揃っていなくても、まずは申請だけでも済ませておくことをおすすめします。後から書類を提出することも可能です。

会社への連絡は速やかに

病気やケガで仕事を休む場合は、速やかに会社に連絡しましょう。連絡が遅れると、傷病手当金の申請手続きに支障が出る可能性があります。また、就業規則によっては、一定期間連絡がない場合、解雇となる可能性もあるため注意が必要です。

会社への連絡内容

  • 病気やケガの状態:病名やケガの状況、どの程度の期間仕事を休む必要があるかを伝えましょう。
  • 医師の診断:医師の診断内容や、今後の治療方針についても伝えましょう。診断書のコピーを提出するように求められる場合もあります。
  • 傷病手当金の申請:傷病手当金の申請を希望していることを伝えましょう。会社によっては、申請に必要な書類を提供してくれる場合もあります。

会社との良好なコミュニケーションを維持することは、スムーズな傷病手当金の受給だけでなく、職場復帰にも繋がります。こまめな連絡を心掛けましょう。

これらの注意点を守り、適切な手続きを行うことで、傷病手当金をスムーズに受給することができます

まとめ

この記事では、傷病手当金の対象となる病気・ケガ、対象者、金額・支給期間、申請方法、よくある質問、注意点について解説しました。傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった際に生活を支えるための重要な制度です。会社員や公務員だけでなく、一定の条件を満たせばパートやアルバイトも受給資格があります。しかし、自営業やフリーランスは対象外となるため注意が必要です。

受給するためには、対象となる病気・ケガであること、所定の労働日数や待機期間などの条件を満たしている必要があります。申請手続きには医師の診断書などが必要で、申請期限も定められています。これらの要件を満たしていない場合、傷病手当金を受給できない可能性があります。また、傷病手当金の受給中に転職した場合、受給資格が継続される場合とされない場合があるので、事前に確認が必要です。傷病手当金と失業保険の併用は原則としてできません。

傷病手当金をスムーズに受給するためには、自身の受給資格を正しく理解し、必要書類を揃え、期限内に申請することが重要です。また、会社への連絡も忘れずに行いましょう。この記事が、病気やケガで働けなくなった際の生活設計の一助となれば幸いです。

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