てんかん発作で退職…失業保険はもらえる?受給条件を解説

退職のミカタ

てんかん発作により退職を余儀なくされた場合、生活の不安は大きなものとなります。特に気になるのが失業保険の受給ですが、状況によっては受給可能な場合があります。この記事では、てんかん発作で退職した場合に失業保険をもらえるのかについて解説します。自己都合退職か会社都合退職か、就業困難な状態かなど、状況別に解説することで、ご自身の状況に合った情報を得ることができます。

目次

てんかん発作で退職した場合、失業保険はもらえるのか

てんかん発作によって退職を余儀なくされた場合でも、条件を満たせば失業保険(正式には雇用保険の基本手当)を受給できる可能性があります。失業保険は、失業中の生活を支え、再就職活動を支援するための制度です。てんかん発作が原因で退職した場合、会社都合退職自己都合退職のどちらに該当するかにより、受給条件が異なります。

会社都合退職とは、会社側の事情により退職せざるを得ない状況になった場合を指します。てんかん発作に関連して、例えば、会社の安全配慮義務違反による解雇や、発作による業務への支障を理由とした退職勧奨などが該当する可能性があります。これらのケースでは、一般的に失業保険の受給が認められやすい傾向にあります。

一方、自己都合退職とは、自身の都合により退職する場合を指します。自己都合退職であっても、てんかん発作によって就業継続が困難であったことが客観的に確認できる場合、ハローワークの判断で「特定理由離職者」に認定されることがあります。その場合、給付制限期間が免除され、会社都合退職に準じた失業給付を受けることが可能になります。なお、この判断は提出された診断書や就業状況を総合的にみて行われるため、必ず該当するとは限りません。

以下の表に、会社都合と自己都合それぞれの場合における、失業保険受給の可能性についてまとめました。

退職理由失業保険受給の可能性必要なもの
会社都合(解雇、退職勧奨など)高い解雇通知書、退職勧奨の記録など
自己都合(就業困難な場合)条件を満たせば可能医師の診断書、雇用保険被保険者証、離職票など

医師の診断書は、失業保険の受給資格を判断する上で非常に重要な書類です。診断書には、てんかん発作の状況(発作の種類、頻度、持続時間など)、治療内容、就業への影響、就業が困難である医学的根拠などが具体的に記載されている必要があります。また、診断書の発行日も重要で、離職日に近い日付で発行された診断書であるほど、受給が認められやすくなります。主治医とよく相談し、必要な情報を記載してもらってください

さらに、ハローワークでは、就労支援に関する相談も可能です。てんかん発作を抱えながら働くための支援制度や、再就職に向けたアドバイスを受けることができます。積極的に活用することで、よりスムーズな再就職活動につなげることができるでしょう。

失業保険の受給条件

失業保険を受給するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。大きく分けて一般受給資格特定受給資格の2種類があり、さらに特定理由離職者という特別なケースも存在します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

一般受給資格

一般受給資格は、離職前2年間被保険者期間が12ヶ月以上あることが条件です。被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のことを指します。パートタイムやアルバイトでも、雇用保険に加入していれば被保険者期間としてカウントされます。

また、積極的に求職活動を行っていること、就職の意思と能力があること、直ちに就業可能な状態であることも条件となります。病気やケガなどで就業ができない場合は、受給資格を満たしません。

特定受給資格

特定受給資格は、離職前1年間被保険者期間が6ヶ月以上あることが条件です。一般受給資格よりも被保険者期間の要件が短くなっています。これは、倒産・解雇など、自分の意思とは関係なく離職した方を対象とした制度です。

特定受給資格の場合も、積極的に求職活動を行っていること、就職の意思と能力があること、直ちに就業可能な状態であることが条件となります。

特定理由離職者

特定理由離職者とは、やむを得ない理由で離職した方のうち、一定の条件を満たす方を指します。特定理由離職者に該当する場合は、自己都合退職であっても、特定受給資格とほぼ同等の扱いを受けられます。待機期間が短縮されるなどのメリットがあります。

病気やケガで退職した場合の特定理由離職者

病気やケガが原因で退職した場合、以下のすべての条件を満たせば「特定理由離職者」として認定され、自己都合退職でも特定受給資格者と同様の扱い(給付制限なし・受給開始が早いなど)を受けられます。

条件内容
1医師の意見などにより、従前の仕事に就業することが不可能と認められること。
2事業主から配置転換の打診を受けたが、当該配置転換に応じることができなかったこと(配置転換の打診がなかった場合を含む)。
3離職の直前まで従前の仕事に就業していたこと。

これらの条件を満たすかどうかはハローワークが最終的に判断します。診断書は「就業不可能な内容が明記されているか」が重要です。

てんかん発作が原因で退職する場合の失業保険受給

てんかん発作が原因で退職する場合、失業保険(正式には雇用保険の基本手当)が受給できるかどうかは、退職理由が会社都合か自己都合かによって異なります。会社都合であれば、原則として受給資格を満たせば失業保険を受給できます。しかし自己都合の場合は、さらに条件を満たす必要があります。

会社都合退職となるケース

会社都合退職となるケースには、主に解雇と退職勧奨があります。てんかん発作を理由とした解雇は、違法となる可能性が高いです。ただし、てんかん発作によって業務に著しい支障が出て、会社が十分な配慮をしたにもかかわらず改善が見られない場合などは、解雇が認められるケースもあります。退職勧奨も、てんかん発作を理由とした場合は、実質的に解雇とみなされる可能性があります。

解雇

てんかん発作を理由とした解雇は、労働契約法第16条の解雇制限規定に抵触する可能性があります。解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効となります。会社は、てんかんを持つ社員に対して、適切な配慮をする義務があります。例えば、発作時の対応マニュアルを作成したり、休憩時間を適切に設定したりするなどの措置が考えられます。このような配慮を怠り、安易に解雇した場合、違法となる可能性が高くなります。

退職勧奨

てんかん発作を理由に退職を勧奨された場合も、解雇と同様に違法となる可能性があります。退職勧奨が強引で、労働者が自主的に退職を決断したとは言えないような状況であれば、実質的に解雇とみなされる可能性があります。例えば、退職に応じなければ解雇すると告げられたり、退職届への署名を強要されたりした場合などが該当します。

自己都合退職となるケース

てんかん発作が原因で自ら退職する場合は、自己都合退職となります。自己都合退職の場合、失業保険を受給するには、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当する必要があります。てんかん発作で退職する場合は、「特定理由離職者」に該当する可能性があります。

就業困難な場合

てんかん発作により、現在の仕事に就くことが困難になった場合は、特定理由離職者として認められる可能性があります。具体的には、発作のコントロールが困難で、就業中に発作が頻発し、安全面や業務遂行に支障が出る場合などが該当します。医師の診断書などで、就業が困難であることを客観的に証明する必要があります。

医師の診断書

自己都合退職で失業保険を受給するためには、医師の診断書が非常に重要です。診断書には、てんかん発作の状態、就業への影響、就業が困難である理由などが具体的に記載されている必要があります。単に「てんかん」と記載されているだけでは不十分です。ハローワークに提出する前に、医師とよく相談し、必要な情報を記載してもらうようにしましょう。

退職理由失業保険受給必要なもの
会社都合(解雇)原則として受給可能離職票など
会社都合(退職勧奨)状況によっては受給可能離職票、退職勧奨に関する証拠など
自己都合(就業困難)特定理由離職者に該当すれば受給可能離職票、医師の診断書など

てんかんとともに働くための支援制度

てんかんを抱えながら働くことは、発作への不安や周囲の理解不足など、様々な困難を伴う可能性があります。しかし、様々な支援制度を活用することで、より安心して働き続けることができます。ここでは、主な支援制度について解説します。

障害者雇用促進法

てんかんは、適切な治療と環境調整により、多くの人が就労可能な状態を維持できます。障害者雇用促進法は、障害のある人が能力を発揮し、経済的に自立した生活を送ることができるよう支援するための法律です。身体障害者手帳を取得することで、この法律に基づく様々な支援を受けることができます。

企業には、障害者雇用率が定められており、一定割合以上の障害者を雇用することが義務付けられています。この制度を活用することで、障害者に対する理解のある企業で働く機会を得やすくなります。

身体障害者手帳の取得

てんかんの場合、発作の頻度や程度に応じて、身体障害者手帳の取得が可能です。手帳の等級は、発作の状況や日常生活への影響などを総合的に判断して決定されます。手帳を取得することで、雇用面だけでなく、税金の控除や交通機関の割引など、様々な優遇措置を受けることができます。

障害者雇用における合理的配慮

企業は、障害者が働きやすいように、勤務時間や休憩時間、作業内容などを調整する「合理的配慮」を提供する義務があります。てんかんの場合、発作時の対応マニュアルの作成や、休憩時間の確保、作業環境の調整などが合理的配慮として考えられます。採用面接時や入社後に、自身の状況や必要な配慮について、企業と積極的に話し合うことが大切です。

就労移行支援事業

就労移行支援事業は、一般企業への就職を目指す障害のある方を対象に、就労に必要な知識や技能の習得、職場実習などの機会を提供するサービスです。てんかんのある方は、就労移行支援事業所を利用することで、就職活動のサポートや、職場での発作への対応方法の指導などを受けることができます。

就労移行支援事業所では、個々の状況に合わせた支援計画を作成し、就職活動から就職後の定着まで、継続的なサポートを提供しています。また、職場実習を通じて、実際の職場で働く経験を積むことも可能です。

就労継続支援事業

就労継続支援事業は、一般企業への就職が困難な障害のある方を対象に、就労の機会を提供するサービスです。A型とB型があり、A型は雇用契約を結び、最低賃金が保障されます。B型は雇用契約を結ばず、利用料が支払われます。

種類雇用形態賃金対象者
A型雇用契約あり最低賃金以上一般企業への就職が困難な障害者
B型雇用契約なし利用料の支払い一般企業への就職が困難な障害者

てんかんのある方は、就労継続支援事業所を利用することで、自分のペースで働くことができ、発作への理解のある環境で就労経験を積むことができます。また、作業能力の向上や社会生活技能の習得のための訓練を受けることも可能です。

これらの支援制度を積極的に活用することで、てんかんを抱えながらも、自分らしい働き方を見つけることができるでしょう。まずは、最寄りのハローワークや障害者就業・生活支援センターに相談してみましょう。

まとめ

てんかん発作で退職した場合、失業保険を受け取れる可能性は会社都合か自己都合か、就業が困難な状況かによって異なります。会社都合(解雇や退職勧奨)であれば、一般受給資格を満たせば受給できます。自己都合の場合、就業が困難で医師の診断書があれば特定理由離職者として認められ、受給できる可能性があります。医師の診断書は就業困難な状況を客観的に証明する重要な書類です。失業保険の受給額や期間は、これまでの給与や雇用期間によって異なります。手続きはハローワークで行い、必要な書類を揃える必要があります。また、てんかんとともに働くための支援制度として、障害者雇用促進法に基づく支援や、就労移行支援、就労継続支援事業などもあります。状況に応じてこれらの制度も活用し、就労の継続または再就職を目指しましょう。

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