会社都合で退職し、失業手当がいつから受け取れるかご不安な方へ。この記事を読めば、会社都合退職における失業手当の受給開始時期、ハローワークでの手続き、受給資格、金額の計算方法まで全て分かります。結論として、会社都合なら待期期間7日間のみ、給付制限なしで受給できる可能性が高く、自己都合より有利です。その具体的な条件や注意点も網羅し、あなたの疑問を解消します。
会社都合退職とは 自己都合退職との違いを解説
失業手当の受給を考える上で、退職理由が「会社都合」なのか「自己都合」なのかは非常に重要なポイントです。なぜなら、どちらの理由で退職したかによって、失業手当の受給開始時期や給付日数、受給資格などが大きく異なるからです。この章では、まず「会社都合退職」とは具体的にどのようなケースを指すのか、そして「自己都合退職」との違いが失業手当にどのような影響を与えるのかを詳しく解説します。
会社都合退職の定義と具体例
会社都合退職とは、労働者の意思に反して、会社側の経営上の理由や労働環境の問題などにより、やむを得ず雇用契約が終了することを指します。つまり、自分から辞めたいと思ったわけではないのに、会社の事情で退職せざるを得なくなった場合が該当します。ハローワークでは、このような離職者を「特定理由離職者」の一部または「特定受給資格者」として扱います。
具体的には、以下のようなケースが会社都合退職と判断される代表的な例です。
- 倒産・大量解雇:会社の倒産(破産、民事再生、会社更生など)、事業所の廃止、大規模な人員整理(リストラ)など。
- 解雇:労働者の責めに帰すべき重大な理由がある場合(懲戒解雇など)を除いた、会社側からの一方的な労働契約の解除。
- 退職勧奨:会社から退職を促され、それに応じた場合。ただし、単なる打診ではなく、応じなければ不利益な処遇を受ける可能性を示唆されるなど、実質的に解雇に近い状況と判断される場合です。
- 労働条件の大幅な相違:採用時に提示された労働条件(賃金、労働時間、職種、勤務地など)と、実際の労働条件が著しく異なっていた場合。
- 賃金の大幅な減額・未払い:同意なく賃金が一定割合以上(目安として従来の85%未満)減額された場合や、賃金が2ヶ月以上連続して支払われなかった場合。
- ハラスメント:上司や同僚などから、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなどの著しい嫌がらせを受け、就業環境が悪化したことにより退職した場合。
- 事業所の移転:会社の事業所が移転し、通勤が往復でおおむね4時間以上かかるなど、通勤が著しく困難になった場合。
- 法令違反:会社が労働基準法などの法令に違反する行為を継続し、行政機関から指導を受けたにもかかわらず改善が見られない場合。
- 更新を希望した有期労働契約が更新されなかった場合(雇い止め):契約期間が満了し、労働者が更新を希望したにもかかわらず、会社側の都合で契約が更新されなかった場合(一定の条件を満たす場合)。
これらの具体例はあくまで一部であり、個別の状況によってハローワークが総合的に判断します。ご自身の状況が会社都合に該当するかどうか不安な場合は、事前にハローワークに相談することをおすすめします。
自己都合退職との主な相違点 失業手当への影響
自己都合退職とは、労働者自身の個人的な理由(転職、結婚、家事都合、病気療養(業務外)、引っ越しなど)により、自らの意思で退職を申し出て雇用契約を終了することを指します。
会社都合退職と自己都合退職では、失業手当の受給において主に以下の点で大きな違いがあります。これが「いつから」失業手当をもらえるかに直結する重要なポイントです。
相違点 | 会社都合退職 | 自己都合退職(正当な理由がない場合) |
---|---|---|
失業手当の待期期間 | 7日間 | 7日間 |
失業手当の給付制限 | なし | 原則2ヶ月または3ヶ月 (5年間のうち2回までは2ヶ月、3回目以降は3ヶ月。ただし、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇の場合は3ヶ月) |
受給開始までの最短期間 | 申請から約1ヶ月後(待期期間7日+認定日までの期間) | 申請から約3~4ヶ月後(待期期間7日+給付制限期間+認定日までの期間) |
所定給付日数 | 年齢、被保険者期間に応じて90日~330日(特定受給資格者の場合) | 被保険者期間に応じて90日~150日 |
国民健康保険料の軽減措置 | 対象となる場合がある(前年の給与所得を30/100として算定) | 原則として対象外 |
上記のように、会社都合退職の場合、7日間の待期期間が満了すれば、給付制限期間なしに失業手当の受給が開始されます。これは、離職後の生活設計において非常に大きなメリットと言えるでしょう。一方、自己都合退職の場合は、7日間の待期期間に加えて、通常2ヶ月または3ヶ月の給付制限期間があるため、実際に手当が振り込まれるのは退職から3~4ヶ月後になることが一般的です。
また、失業手当を受け取れる期間である「所定給付日数」も、会社都合退職の方が手厚くなる傾向にあります。これは、会社都合による離職が労働者にとって予期せぬ事態であり、再就職の準備期間がより必要であると考慮されるためです。
このように、退職理由が会社都合か自己都合かによって、失業手当の「いつから」「どれくらいの期間」もらえるかが大きく変わってきます。そのため、離職票を受け取った際には、ご自身の退職理由が正しく記載されているかを必ず確認することが重要です。
会社都合の失業手当 いつから受け取れるのか 受給開始までの流れ
会社都合で退職した場合、失業手当(基本手当)をいつから受け取れるのかは、多くの方が気になる点でしょう。自己都合退職と比べて早期に受給開始できるのが大きな特徴です。ここでは、失業手当を受け取るまでの具体的な流れと、会社都合退職ならではのメリットについて詳しく解説します。
失業手当受給の基本的な流れ ハローワークでの手続き
失業手当を受給するためには、ハローワーク(公共職業安定所)での手続きが不可欠です。会社都合退職の場合も、基本的な流れは以下の通りです。
- 離職票の受け取りと内容確認:退職した会社から「雇用保険被保険者離職票(離職票-1、離職票-2)」を受け取ります。特に離職理由が「会社都合」になっているか必ず確認しましょう。通常、退職後10日程度で交付されますが、遅れる場合は会社に確認が必要です。
- ハローワークでの求職申込みと受給資格決定:ご自身の住所を管轄するハローワークへ行き、「求職の申込み」を行います。その際に離職票などを提出し、失業手当の受給資格があるかどうかの決定を受けます。この手続きは、原則として離職日の翌日から可能です。
- 雇用保険説明会への参加:受給資格が決定すると、後日(通常、求職申込みから1~2週間後)開催される「雇用保険説明会」への参加が指示されます。ここでは失業手当の受給に関する重要な説明が行われ、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されます。
- 失業の認定:原則として4週間に1度、指定された日にハローワークへ行き、「失業認定申告書」に求職活動の状況などを記入して提出し、「失業の認定」を受けます。最初の失業認定日は、求職申込みから約4週間後となることが多いです。
- 失業手当の振込:失業の認定を受けると、通常、数営業日~1週間程度で指定した金融機関の口座に失業手当が振り込まれます。
これらの手続きをスムーズに進めることが、失業手当を早く受け取るための鍵となります。
ハローワークでの初回手続きに必要な主な持ち物は以下の通りです。事前に管轄のハローワークのウェブサイト等で最新情報をご確認ください。
持ち物 | 備考 |
---|---|
雇用保険被保険者離職票(離職票-1、離職票-2) | 会社から交付されます。 |
個人番号確認書類 | マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票の写しのいずれか。 |
身元確認書類 | 運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した写真付きの資格証明書など。これらがない場合は、公的医療保険の被保険者証、住民票の写しなど2種類。 |
写真(最近撮影したもの、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm) | 2枚。マイナンバーカードを持参する場合は省略できる場合があります。 |
印鑑 | 認印で可。シャチハタは不可の場合があります。 |
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード | 失業手当の振込先として。一部指定できない金融機関があります。ネット銀行は取り扱いがない場合があるので注意が必要です。 |
もし会社から離職票がなかなか交付されない場合は、その旨をハローワークに相談することで、仮手続きを進められる場合があります。
会社都合退職の場合の待期期間 7日間で終了
失業手当の受給手続きを行うと、まず「待期期間(たいききかん)」というものが設けられます。これは、ハローワークに求職の申込みをした日(受給資格決定日)から通算して7日間のことで、この期間は失業の状態にあることを確認するための期間とされています。この7日間は、失業手当は支給されません。
待期期間は、会社都合退職であっても自己都合退職であっても共通して適用されます。
具体的には、ハローワークで求職申込み手続きを行い、受給資格が決定した日からカウントして7日間が経過すると、待期期間は満了となります。例えば、月曜日に求職申込みをして受給資格が決定した場合、その日を含めて7日後の日曜日までが待期期間となり、その翌日の月曜日からが給付の対象期間となり得ます。
この7日間は、積極的に求職活動を行う必要はありませんが、アルバイトなどを行う場合は注意が必要です。収入や労働時間によっては「就職または就労した」とみなされ、待期期間が延長されたり、失業手当の支給に影響が出たりすることがあります。短時間のアルバイトであっても、必ずハローワークに申告し、指示を仰ぐようにしましょう。
給付制限なし 会社都合退職の大きなメリット
会社都合退職の場合、失業手当をいつから受け取れるかという点で、自己都合退職と比較して非常に大きなメリットがあります。それは、「給付制限」がないことです。
一般的な自己都合退職や、労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇(懲戒解雇)の場合、通常、7日間の待期期間満了後、さらに原則として2ヶ月または3ヶ月の給付制限期間が設けられます。この給付制限期間中は、失業の状態にあっても失業手当は支給されません。
しかし、会社都合退職(倒産・解雇など、事業主の都合による離職)や正当な理由のある自己都合退職と判断される特定理由離職者の場合は、この給付制限がありません。つまり、7日間の待期期間が終了すれば、その翌日から失業手当の支給対象期間となるのです。
これは、離職後の生活への経済的な影響を最小限に抑え、速やかに次の仕事探しに専念できるという点で、会社都合で離職された方にとって非常に重要なポイントです。この給付制限がないことにより、自己都合退職の場合と比較して、約2ヶ月~3ヶ月早く失業手当を受け取り始めることが可能になります。
したがって、「会社都合の失業手当はいつから?」という問いに対しては、「ハローワークで求職申込みを行い受給資格が決定してから7日間の待期期間が経過した後、最初の失業認定日を経て、その数日後から」というのが具体的な答えになります。最初の振込は、求職申込みから約1ヶ月後が目安となりますが、手続きの進捗や認定日の設定によって前後します。
会社都合で失業手当をもらうための受給資格と条件
会社都合で退職した場合、失業手当(正式には雇用保険の基本手当)をスムーズに、そして有利な条件で受け取るためには、いくつかの受給資格と条件を満たす必要があります。ここでは、その具体的な内容について詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら確認していきましょう。
失業手当の基本的な受給資格を確認
まず、会社都合退職であるかどうかにかかわらず、失業手当を受給するためには、以下の基本的な条件をすべて満たしている必要があります。これらは雇用保険の基本手当を受け取るための大前提となります。
離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間(賃金支払基礎日数が11日以上ある月)が12か月以上あること。ただし、倒産・解雇等の理由で離職した方(特定受給資格者や一部の特定理由離職者)の場合は、離職日以前1年間に被保険者期間が6か月以上あれば受給資格を得られる場合があります。
働く意思と能力があること。つまり、健康状態や家庭環境などに問題がなく、いつでも就職できる状態であることが求められます。
積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態であること。単に失業しているだけでなく、ハローワークを通じて仕事を探すなどの具体的な活動が必要です。
ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、失業の認定を受けること。
これらの条件を満たした上で、離職理由が会社都合と判断されると、さらに手厚い給付が期待できます。
会社都合退職と判断されるための条件とは
失業手当の受給において「会社都合退職」と認められるか否かは、給付制限の有無や所定給付日数に大きく関わってきます。会社が「会社都合だ」と言ったとしても、最終的な判断はハローワークが客観的な事実に基づいて行います。
この判断の際に最も重要な資料となるのが、会社から交付される「離職票」に記載された離職理由です。具体的にどのような状況が会社都合退職と判断されるのか、その代表的なケースを見ていきましょう。
特定理由離職者の範囲と判断基準
会社都合による離職の多くは、雇用保険法において「特定受給資格者」または「特定理由離職者」として扱われます。これらの区分に該当すると、自己都合退職の場合に設けられる給付制限期間(通常2ヶ月または3ヶ月)がなく、7日間の待期期間満了後すぐに失業手当の支給が開始されるといったメリットがあります。
以下に、特定受給資格者や特定理由離職者として扱われる主な離職理由と、その判断基準のポイントをまとめました。
離職理由の具体例 | 判断基準のポイント・具体例 | 該当区分(主な例) |
---|---|---|
倒産・事業所の大量廃止・事業所の廃止 |
会社の破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始の申立て等があった場合。または、事業所が廃止され、事業活動が停止し再開の見込みがない場合。 | 特定受給資格者 |
解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く) |
会社から一方的に雇用契約を解除された場合。懲戒解雇であっても、その理由が労働者の職責や地位、過去の勤務態度等に照らして社会通念上相当と認められない場合は、会社都合と判断されることがあります。 | 特定受給資格者 |
退職勧奨 |
会社から退職を勧められ、それに応じて離職した場合。対象者選定の客観性・合理性がない、あるいは執拗な退職勧奨、退職しなければ不利益な処遇を示唆されるなど、実質的に解雇に近いと判断される場合に該当します。 | 特定受給資格者 |
労働契約締結時に明示された労働条件と実際の労働条件の著しい相違 |
採用時に提示された賃金、労働時間、勤務地、職務内容などが、実際の労働条件と著しく異なっていたために離職した場合。例えば、求人票や労働契約書に記載された内容と実態が大きくかけ離れているケースです。 | 特定理由離職者 |
賃金の大幅な低下 |
本人の同意なく、従来の賃金に比べて85%未満に低下した場合(または低下する見込みとなった場合)。ただし、職位の変更や懲戒処分による正当な降給は除きます。 | 特定理由離職者 |
賃金の未払い・支払遅延 |
賃金(退職金を除く)の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったこと、または離職の直前6か月の間に3か月あったことなどにより離職した場合。 | 特定理由離職者 |
長時間の時間外労働 |
離職の直前6か月間のうち、いずれか連続する3か月で月45時間を超える時間外労働があった場合、またはいずれか1か月に100時間を超える時間外労働があった場合など、過度な長時間労働が常態化していたことにより離職した場合。 | 特定理由離職者 |
上司、同僚等からの著しいハラスメント |
セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなどを受け、会社に相談しても適切な対応がなされず、就業環境が改善されなかったために離職を余儀なくされた場合。 | 特定理由離職者 |
事業所の移転による通勤困難 |
事業所の移転により、通常の交通機関を利用した通勤所要時間が往復でおおむね4時間以上となり、通勤が著しく困難になったために離職した場合。ただし、移転について事前に十分な説明があり、労働者が同意していた場合は除かれます。 | 特定理由離職者 |
会社の法令違反 |
会社が労働基準法、労働安全衛生法などの法令に違反する行為を行い、その結果として労働者の権利が侵害されたために離職した場合。例えば、違法なサービス残業の強要や、安全配慮義務を怠ったことによる労働災害の発生などが該当します。 | 特定理由離職者 |
上記はあくまで代表的な例であり、個別の状況に応じてハローワークが総合的に判断します。ご自身の離職理由が会社都合に該当するかどうか不安な場合は、労働契約書、就業規則、給与明細、タイムカード、退職勧奨やハラスメントに関するメールや録音などの客観的な証拠を準備して、管轄のハローワークに相談することをおすすめします。これらの資料は、ハローワークが離職理由を判断する上で重要な手がかりとなります。
失業手当はいつからいくらもらえる 会社都合の場合の計算方法
会社都合で退職した場合、失業手当(基本手当)をいつから、そして、いくらくらい受け取れるのかは、生活設計を立てる上で非常に重要な情報です。ここでは、会社都合退職における失業手当の具体的な計算方法や、受給できる日数について詳しく解説します。
基本手当日額の計算方法と上限下限
失業手当として1日あたりに支給される金額を「基本手当日額」といいます。この基本手当日額は、原則として離職日直前の6ヶ月間に支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した「賃金日額」に、一定の給付率をかけて計算されます。
賃金日額 = 離職日直前6ヶ月間の賃金合計 ÷ 180
この賃金日額には上限額と下限額が設けられており、年齢によって異なります。令和5年8月1日現在の賃金日額の上限額・下限額は以下の通りです。
年齢 | 賃金日額の下限額 | 賃金日額の上限額 |
---|---|---|
29歳以下 | 2,746円 | 13,890円 |
30歳~44歳 | 2,746円 | 15,430円 |
45歳~59歳 | 2,746円 | 16,980円 |
60歳~64歳 | 2,746円 | 16,210円 |
(出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業保険)の所定給付日数と金額」)
そして、基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50%~80%、60歳~64歳は45%~80%)
給付率は、賃金日額が低い方ほど高い率が適用されるようになっています。例えば、賃金日額が高い場合は50%(60歳~64歳は45%)、低い場合は80%となります。この基本手当日額にも、年齢区分ごとに上限額と下限額が定められています。令和5年8月1日現在の基本手当日額の上限額・下限額は以下の通りです。
年齢 | 基本手当日額の下限額 | 基本手当日額の上限額 |
---|---|---|
29歳以下 | 2,196円 | 6,945円 |
30歳~44歳 | 2,196円 | 7,715円 |
45歳~59歳 | 2,196円 | 8,490円 |
60歳~64歳 | 2,196円 | 7,295円 |
(出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業保険)の所定給付日数と金額」)
ご自身の正確な基本手当日額は、ハローワークで失業手当の手続きを行った際に交付される「雇用保険受給資格者証」で確認できます。
所定給付日数 会社都合退職の場合の日数
失業手当を受け取れる日数を「所定給付日数」といいます。会社都合退職(「特定受給資格者」または一部の「特定理由離職者」に該当)の場合、自己都合退職に比べてこの所定給付日数が手厚く設定されています。所定給付日数は、離職時の年齢と雇用保険の被保険者であった期間(算定基礎期間)によって決まります。
会社都合退職の場合の所定給付日数は以下の通りです。
被保険者であった期間 | 29歳以下 | 30歳~34歳 | 35歳~44歳 | 45歳~59歳 | 60歳~64歳 |
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 210日 | 180日 |
10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
20年以上 | – | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
(注:29歳以下で被保険者期間20年以上の場合、所定給付日数は180日となりますが、一般的な区分として上記表では「-」としています。正確にはハローワークにご確認ください。)
(出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」)
例えば、35歳で被保険者期間が7年の方が会社都合で退職した場合、所定給付日数は180日となります。この日数の期間内で、失業の認定を受けた日について基本手当が支給されます。「いつから」という点では、7日間の待期期間満了後から支給対象となり、この所定給付日数の満了日までが受給期間の目安となります。
失業手当の総額は、「基本手当日額 × 所定給付日数」が上限となります。ただし、これはあくまで上限であり、途中で再就職が決まった場合などは、この全額を受け取るわけではありません。その場合は、再就職手当などの対象になる可能性があります。
会社都合の失業手当 いつから受給できるか知る上での注意点
会社都合で退職した場合、失業手当の受給開始時期は自己都合退職に比べて早いというメリットがありますが、確実に、そしてスムーズに手当を受給するためにはいくつかの重要な注意点があります。これらのポイントを事前に理解しておくことで、予期せぬトラブルを避け、安心して次のステップに進むことができるでしょう。
離職理由の確認は必ず行うこと
失業手当の受給において、離職理由は非常に重要な要素です。特に会社都合退職であるか否かは、給付制限の有無や所定給付日数に直接影響します。会社から交付される「離職票」には離職理由が記載されていますので、必ず内容を確認しましょう。
もし、ご自身の認識と離職票に記載された離職理由が異なる場合、例えば、実質的には会社都合なのに自己都合として処理されているなどのケースでは、速やかにハローワークに相談し、必要であれば異議申し立ての手続きを行うことが重要です。異議申し立てが認められれば、会社都合退職として扱われ、給付条件が有利になる可能性があります。離職理由は、失業手当の受給開始時期だけでなく、受給期間や総額にも関わるため、納得できない場合は諦めずに専門機関に相談しましょう。
申請が遅れると失業手当の受給開始も遅れる可能性
失業手当を受給するためには、ハローワークでの求職申込みと受給資格の決定手続きが必要です。これらの手続きが遅れると、当然ながら失業手当の受給開始も遅れてしまいます。
さらに重要な点として、失業手当には受給期間の原則があります。失業手当を受給できる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。この1年という期間内に、所定給付日数の全てを受給し終える必要があります。したがって、申請が大幅に遅れてしまうと、たとえ所定給付日数が残っていても、1年の期限が来てしまうことで、本来受け取れるはずだった手当の一部または全部が受け取れなくなる可能性があります。
会社都合退職の場合、7日間の待期期間が満了すればすぐに受給が開始されますが、それはあくまでスムーズに手続きが進んだ場合の話です。離職後はできるだけ速やかにハローワークへ行き、手続きを開始しましょう。病気やケガなど、やむを得ない理由で申請が遅れる場合は、受給期間の延長が認められることもありますが、まずはハローワークに確認することが大切です。
再就職手当など他の給付金との関連も確認
失業手当を受給している間に早期に再就職が決まった場合、「再就職手当」などの就職促進給付が受けられることがあります。これらの給付金は、失業状態からの早期脱却を支援するためのもので、受給できれば経済的な助けになります。
特に会社都合退職(特定理由離職者を含む)の場合、自己都合退職に比べて失業手当の所定給付日数が多くなる傾向があり、それに伴い再就職手当の額も多くなる可能性があります。再就職手当の主な内容は以下の通りです。
手当の種類 | 概要 | 会社都合退職との関連ポイント |
---|---|---|
再就職手当 | 失業手当の受給資格がある方が、早期に安定した職業に再就職した場合に、失業手当の支給残日数に応じて一時金として支給される手当です。 | 会社都合退職の場合、7日間の待期期間満了後、給付制限なしで失業手当の受給が開始されるため、早期に再就職が決まれば、多くの支給残日数を確保しやすく、再就職手当の受給額も期待できます。 |
再就職手当の他にも、再就職先で6ヶ月以上雇用され、かつ再就職後の賃金が離職前の賃金より低い場合に支給される「就業促進定着手当」や、障害のある方など就職が困難な方が安定した職業に就いた場合に支給される「常用就職支度手当」などがあります(受給にはそれぞれ詳細な条件があります)。
これらの手当を受給すると、原則としてその後の失業手当の支給は終了します。どの制度を利用するのがご自身にとって最も有利なのか、再就職が決まった際にはハローワークの窓口で相談し、最適な選択をするようにしましょう。いつから新しい仕事に就くか、どのような条件で就職するかによって、受け取れる手当の種類や額が変わってくるため、事前の情報収集と確認が重要です。
まとめ
会社都合退職の場合、失業手当はハローワークでの手続き後、7日間の待期期間のみで受給が開始されます。自己都合退職と異なり給付制限がないため、早期に受給できるのが大きなメリットです。所定給付日数も長くなる傾向にあります。ただし、離職理由の確認や申請の遅延には注意し、この記事を参考にスムーズな受給を目指しましょう。
退職給付金の受給手続きを行うためには、正確な手続きと専門的な知識が必要です。
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